「火炎の中にトンネル! ~新しい概念の中空チューブ」 動画はこちらから
サイエンスアゴラ2015 に出展しました。 ( 11.14~15 日本科学未来館)
展示ブース(人物は長男の康介)
中空チューブの写真 |
ホースを3本使用した中空チューブの模型写真です。
↓中空チューブを折りたたんだ状態 ↓ホースに空気を圧入しチューブを展張した状態
↑中空チューブの中の状態(ホースを3本使用) ↑火災現場で消防車に展張した状態
機器の利用分野 |
イ.住宅等の火災・煙災現場からの救出活動
ロ.地下街やトンネル等での煙災現場からの救出活動
ハ.ビル間等に懸架しての被災現場から避難場所への救出活動
要 旨 |
住宅火災等からの救出は、救助隊の高度な専門的知識と技術・装備により行うのが一般的で、大変危険
な任務です。
今回考案した流体導入式チューブシステムを用いれば、若干の取り扱いの訓練を受けることで、安全に
救出することができます。
このチューブは、平素は消防車に積み込んで折りたたんで保管しておき、使用時にはチューブを構成す
るホースに消火用水を注入してチューブを展張させ、被災場所へ懸架し、チューブの中を通して救出する
ものです。チューブ内は水が注入されたホースで囲まれ、火炎・高熱・煙から遮断され、安全を確保できます。
現状と問題点 |
火災等からの救出は、救助隊が、高度な専門的知識と技術・装備(命綱・登はん用梯子・渡過ロープ
・空気呼吸器(煙道内))を用い、人命の救助を行うのが一般的で、救助者には大変危険な任務となっております。
被災者においても、ロープ等では救助されるときに火炎・高熱・煙等に直接触れるなど,非常に危
険を伴っております。
開 発 . |
そこで上記の問題を解決するために、
第1に、救助されるときに火炎・高熱・煙等などに接触しなくとも良い方法として通路(チューブ)の中
を通すことを考え、チューブの直進性を強くする方法としてチューブの外皮を複数本のホースで構成し、
これを螺旋状に巻回することで解決しました。
第2に、火災現場での高熱対策として、航空機のフライトレコーダが高熱に耐える仕組みとしてスポン
ジに含ませた水の気化熱を利用していることを応用し、チューブを構成するホースへ水を注入してホース
を断熱壁として機能させることで、チューブ内を火炎・高熱等から安全を確保することを可能としました。
これにより、被災者をこのチューブの中を通して安全に救出させることができます。
チューブの取り扱い方法 |
通常は水などの流体を注入させるためのコンプレッサー等の装置が必要となりますが、消防車には消火
放水用のポンプが装備されておりますので、チューブは新規に開発することとなりますが、展張の設備は
消防車の放水設備に代用することで、少ない投資で装置の配備が可能と思います。
具体的な運用としては、平素は消防車に折りたたんで積み込んで保管しておき、使用時にはチューブを
構成するホースに消火用水を注入してチューブを展張させます。
チューブの仕様 . |
使用する目的により、チューブの材料、径、長、強度、傾斜角、流体の種類などが検討され 製作する
こととなります。
(目的) ・住宅等の火災現場からの救出用
・地下やトンネル火災等の煙害現場からの救出用
・ビル間等に懸架し、被災現場から避難場所への救出用
今般は、「低層住宅の火災等からの救出用チューブシステム」に限定して使用するとし、そのとき
の仕様例は次のようなものです。
直径80~90㎝×長さ10m、
(径5~7cm、長15m/1.6MPaの消防用ホースを10~15本使用)
「流体導入式中空孔形成チューブの概要」(特許No.4801214)
少なくとも一方端が開口し内部に前記開口に連通した中空孔を有し、一方端の開口から中空孔内に流
体が圧入されて膨らむ所定長さの複数本の小径ホースを備え、これらの小径ホースは、それぞれの中空
孔に流体が圧入されたときに、両端に大径開口及び内部にこれらの開口に連通した大径中空孔が形成さ
れる大きさの直径を有する円又は楕円の周上長手方向に、それぞれの各開口の一端部を揃えて螺旋状に
巻回して、流体が圧入される前は、折畳み又は巻回可能な状態にあり、一方の各開口から流体が圧入さ
れたときに、他方の各開口が開口している場合は閉鎖されて流体の圧力により順次膨らみ前方へ押出さ
れて、前記折畳み又は巻回状態から直進して大径開口及び大径中空孔が形成される。
開発による効果、検証 |
救出の方法は、救出用チューブを常時消防車に積み込んでおき、火災現場に到着した後消防車の消火
用水を、救出用チューブを構成するホースへ圧入して、それまで折りたたんでいたチューブを直進状に
展張し、救出箇所へ懸架し、被災者を救出用チューブの中を通して救出します。(注) 救出用チューブを
直進状に展張する前に救出箇所へ懸架することも可
この方法により、
①救命士等の高度な専門的知識・技術がなくとも救出が可能である。
②チューブは梯子車の代わりにもなる。
③ 救出用チューブの外皮は、水が注入されているホースで囲まれており耐熱性が高いことで、火災
の近地点へ懸架できる。
④ 救出用チューブ内は隔離された場所であり、被災者や救出者を火炎や消火用化学消火剤等から守
ることができる。
⑤ホースへは水を注入することで、空気等の気体と違い、破裂等が生じないので取り扱いが安全で
ある。
⑥一般の消防車に装備し、ホースへは消防車の消火用水を使用することで、ホースを展張するため
の特別な設備を設けなくとも済むことで投資が少なくて済む。
今後の課題 . |
今回提案の「救出用チューブ」は、全く新しい考えによるもので、その利用法はチューブの仕様・応用
により多々考えられ、専門的な技術開発が必要と思っております。
そして、普及させるためにはその製作技術だけでなく、消防法等の法律面の整備を早急に行う必要があ
ると思っており、消防庁他皆様のご協力をお願いする所存です。
以 上